

ベン・トー2 ザンギ弁当295円 [★★]
どうでもいいけど、弁当だったら私は「ノリ弁」が最強だと思う。定番ですが。
シンプル・イズ・ザ・ベストの精神に則るわけじゃありませんが、なんていうのかな……あのノリ弁独自のオーラというか。分かりません?
さてさて、半額弁当争奪戦第2弾でございます。今回もより一層笑い、同時に熱い作品でもありました。
ベン・トー〈2〉ザンギ弁当295円 (集英社スーパーダッシュ文庫)

半額弁当争奪戦の世界を知り、HP同好会での活動を続ける佐藤洋。ある日、佐藤の元に同い年の従姉・著莪あやめが訪ねてきた。
彼女も「湖の麗人」の二つ名を持つハンターであり、槍水仙との対決のためにやってきていたが、その背後には壮大な陰謀が渦巻いていた!
庶民派シリアスギャグアクション、大騒乱の第2弾。
動き出す『帝王』の陰謀! 従妹登場で戦場もさらに荒れる――!?
一巻でも感じたけど、この熱い戦いは読んでいるこっちも手に汗握る展開でもうすごい。少年漫画的な感動。
何がすごいって、やっていることはただただ半額弁当を手に入れるが為にやっていることなんですよ。しかしそこに確かに存在する彼ら『狼』としてのプライド、熱意が面白いほど伝わってきます。比喩でもなんでもなく、命かけてやっているんです。
その戦場では自分以外はみんな敵。時に利用し利用され、時に共闘し、共闘してもすぐさま敵に成り変わる。そんなハラハラする展開がつまらないわけがない。たとえそれが単なる弁当争奪戦でも。
その中で『狼』として腕を上げていく主人公の佐藤洋、共に戦う白粉花の姿がカッコいいことか。
そして苦闘の末に得た弁当の美味そうな描写ときたら。ザンギ弁当がすごく食べたくなりました。
新キャラで佐藤の従妹である著莪あやめも中々に濃いキャラであります。
少々親父くさいというか開けっぴろげというか、けど姉御肌というわけでもないそんなキャラ。男女問わずに(主に佐藤や白粉)ナチュラルにセクハラを働くあやめにはニヤニヤでした。
弄られキャラになりつつある佐藤には、女の武器を駆使して否が応でも賭けに従わせたり、彼の目の前で秘蔵のエロ本を読むという公開処刑をしたり。白粉にはもうリアルセクハラです。
「……佐藤君、怒ってもいいですよね? というか、これはもう……怒らないわけにはいきませんよね? 佐藤君自身、分かっていますよね?」
しかし、そんな掴み所のないあやめ相手(セットで佐藤も)にも白梅様はやってくれました。もう白梅様しか見えません。
物凄いインパクトと鉄拳を残す白梅様はもう崇拝に値しますでしょう。
さて、主人公の佐藤洋ですけど、もうなんか弄られキャラが定着しつつありますね。
今回は特にすごかったと思います。なんせ前回は白梅様でしたけど、警備員のおっさんに裸に剥かれたり、ケツに単一乾電池をぶち込まれそうになったり、やむを得ず女装で戦場へ向かったりと主人公含め周りは変態ばっかり。こんなに早々女装ネタが出てくるとは思いませんでした。いやはやもう何回笑ったでしょう。
そして最凶最悪の敵『帝王』の登場。ピアスがこいつの部下みたいなことはなんとなく予想してました。
しかし、この作品において二つ名というものがいかに大切なものかが明記されてましたね。誰がつけたという風ではなく、いつの間にか呼ばれているものなのだと。そこには、自身の誇りの宿っているものだと。
苦戦を強いられるも『魔導士』と共闘し『帝王』に立ち向かうところは、集英社的な熱さが確かにあった。
いや大満足です。一生懸命バカやって楽しませてくれるものは本当に好きですね。
読んでいるとこっちまで「半額弁当に命賭けるのは当たり前」だと思ってくるから不思議。見事に感化されているのでしょうね。
というわけでオススメです!
→『ベン・トー3 国産うなぎ弁当300円』の感想へ
←『ベン・トー サバの味噌煮290円』の感想へ